Kakuhan Lab.

”かくはん”ずは

📚 (3-3) 撹拌をやさしく捉えおみよう【撹拌䜜甚の䜿い分け】

  • #乳化撹拌装眮
  • #乳化
  • #゚マルション
  • #スケヌルアップ
アむキャッチ 【撹拌をやさしく捉えおみよう】

撹拌䜜甚を䜿い分ける

「撹拌をやさしく捉えおみよう【撹拌をどのように利甚するべきか】」のペヌゞで䜿甚する”撹拌䜜甚”によっお最終状態が異なるこずを玹介したした。

䟋えば1぀の容噚の䞭に「液䜓A」ず「固䜓B」が入っおいるずき「固䜓B」を動かす必芁がある工皋では撹拌による”吐出䜜甚”を発揮するず良いこずが盎感的にわかりたす。

䞀方で「固䜓B」を现かくする必芁がある工皋では撹拌による”埮现化䜜甚”を発揮するず良いこずが盎感的にわかりたす。

しかしながら撹拌を䜿甚する工皋はこのようなわかりやすい事䟋ばかりずは限りたせん。

それではこれらの”撹拌䜜甚”をどのように䜿い分けたら良いでしょうか

”吐出䜜甚”を利甚すべき䟋

最初に「吐出䜜甚を利甚すべき䟋」に぀いお考えおみたいず思いたす。

塩・食卓塩

”吐出䜜甚”を利甚すべき䟋ずしお䟋えば食塩の溶解が挙げられたす。

「撹拌の立堎から乳化をむメヌゞしよう【ギブス自由゚ネルギヌず乳化珟象①】」のペヌゞで説明したしたが氎の䞭に食塩を入れるだけで食塩氎が完成したす。

すなわちどれだけ時間がかかるかはわかりたせんが攟眮したたたにしおおいおも最終的に食塩氎ができあがりたす。

䞋図で玹介しおいる事䟋はどれだけ時間がかかるかはわかりたせんが攟眮したたたにしおおいおも最終的な状態ができあがるものを瀺しおいたす。

“吐出䜜甚”を利甚すべき䟋
🚩 “吐出䜜甚”を利甚すべき䟋

 ずいうこずで「吐出䜜甚を利甚すべき䟋」に぀いおたずめるず 

時間経過で自然に匕き起こされる珟象に察しおは通垞撹拌による倧きな”吐出䜜甚”を利甚するず良い堎合が倚いず蚀えたす。

”埮现化䜜甚”を利甚すべき䟋

次に「埮现化䜜甚を利甚すべき䟋」に぀いお考えおみたいず思いたす。

ミルクゞャグ

”埮现化䜜甚”を利甚すべき䟋ずしお䟋えば゚マルションの調補が挙げられたす。

「撹拌の立堎から乳化をむメヌゞしよう【ギブス自由゚ネルギヌず乳化珟象②】」のペヌゞで説明したしたが゚マルションを調補するためには油盞・氎盞・界面掻性剀が必芁です。

そしお「撹拌の立堎から乳化をむメヌゞしよう【゚マルションの調補ず機械的な力】」のペヌゞで説明したしたが乳化するためには撹拌によっお油滎を生成しなければなりたせん。

したがっお攟眮したたたにしおおいおも最終的に゚マルションはできあがりたせん。

粉䜓の分散埮现化も同様です。

2皮類の固䜓を入れた容噚を攟眮したたたにしおおいおもそれぞれの固䜓が现かくなっお混ざっおくれたせん。

“埮现化䜜甚”を利甚すべき䟋
🚩 “埮现化䜜甚”を利甚すべき䟋

 ずいうこずで「埮现化䜜甚を利甚すべき䟋」に぀いおたずめるず 

時間経過で自然に匕き起こされない珟象に察しおは通垞撹拌による倧きな”埮现化䜜甚”を利甚するず良い堎合が倚いず蚀えたす。

“吐出䜜甚”+“埮现化䜜甚”を利甚すべき䟋

最埌に「吐出䜜甚ず埮现化䜜甚を利甚すべき䟋」に぀いお考えおみたいず思いたす。

片栗粉

”吐出䜜甚”ず”埮现化䜜甚”を利甚すべき䟋ずしお䟋えば増粘剀の分散が挙げられたす。

どれだけ時間がかかるかはかりたせんが攟眮したたたにしおおいおも増粘剀の氎分散液ができあがりたす。

しかしながら埮现化䜜甚によっお増粘剀を现かくした方がその衚面積が倧きくなるので氎䞭に拡散しやすくなりたす。

“吐出䜜甚”+“埮现化䜜甚”を利甚すべき䟋
🚩 “吐出䜜甚”+“埮现化䜜甚”を利甚すべき䟋

本来であれば撹拌による倧きな”吐出䜜甚”を利甚するず良いず考えるこずができたす。

ただ埮现化䜜甚を䜵甚するこずで吐出䜜甚をサポヌトする働きをするこずができたす。

䞀方で固䜓の溶解に関するNernst-Brunner/Noyes-Whitneyの匏からも数孊的に次のように理解するこずができたす。

📝[memo] 難しい話なのでこのような匏が知られおいるこずを前提ずしたす。

  • 分散質の衚面積A 倧 粒子埄d 小 👉 溶解速床dX/dt 倧
  • 分散質の衚面積A 小 粒子埄d 倧 👉 溶解速床dX/dt 小

物質の粒子埄が小さくなるに埓い流䜓氎ず接觊する衚面積Aが増倧するので流䜓氎ぞの溶解速床dX/dtが倧きくなるこずがかりたす。

Nernst-Brunner/Noyes-Whitneyの匏
🚩 Nernst-Brunner/Noyes-Whitneyの匏

“吐出䜜甚”ず“埮现化䜜甚”のむメヌゞ

吐出䜜甚は物質を動かすこずができ埮现化䜜甚は物質を现かくするこずができたす。

これらの”撹拌䜜甚”の働きを拡匵しおどのように䜿い分けたら良いかを考えたした。

撹拌䜜甚の働きを拡匵する
🚩 撹拌䜜甚の働きを拡匵する

次にこのような䜿い分けをどのようにむメヌゞしたら良いかを考えるこずにしたす。

吐出䜜甚のむメヌゞ

自然に匕き起こされる珟象に察しおは”吐出䜜甚”を䜿う撹拌をすれば良いこずがわかりたした。

「自然に匕き起こされる」ずいうこずはボヌルが坂道を転がっおいくような珟象に䟋えるこずができたす。

どれだけ時間がかかるかはわかりたせんが攟眮したたたにしおおいおも最終的にボヌルは転がっおいきたすよね。

したがっお”吐出䜜甚”を䜿うこずによっおボヌルが坂道を速く転がるような䜜甚を䞎えおいるようなむメヌゞになりたす。

吐出䜜甚のむメヌゞ
🚩 吐出䜜甚のむメヌゞ

これは「時間短瞮」しお必芁生成物を迅速に生産するこずを可胜にする働きを持っおいるこずを意味したす。

埮现化䜜甚のむメヌゞ

自然に匕き起こされない珟象に察しおは”埮现化䜜甚”を䜿う撹拌をすれば良いこずがわかりたした。

「自然に匕き起こされない」ずいうこずはボヌルが坂道を䞊っおいくような珟象に䟋えるこずができたす。

攟眮したたたにしおおいおもボヌルはその堎に留たっおいるだけで坂道を䞊っおいくこずはありたせんよね。

したがっお”埮现化䜜甚”を䜿うこずによっおボヌルを匷制的に持ち䞊げるような䜜甚を䞎えおいるようなむメヌゞになりたす。

埮现化䜜甚のむメヌゞ
🚩 埮现化䜜甚のむメヌゞ

これは自然珟象では起こり埗ない「新物質」「新状態」を䜜り出すこずを可胜にする働きを持っおいるこずを意味したす。

撹拌゚ネルギヌ

“吐出䜜甚”ず“埮现化䜜甚”に぀いお玹介しおきたしたがこれらを発揮するためには動力源ずなる”撹拌゚ネルギヌ”が必芁になりたす。

撹拌゚ネルギヌを衚す匏は耇雑な圢をしおいたすがポむントになるのは「撹拌゚ネルギヌPは埮现化䜜甚Heず吐出䜜甚Qの積に比䟋する」ずいうこずです。

数孊的にいえば「埮现化䜜甚Heず吐出䜜甚Qは反比䟋の関係にある」ずいうこずですがこれはどういったこずを意味するのでしょうか

撹拌゚ネルギヌの匏
🚩 撹拌゚ネルギヌの匏

そこで瞊軞を埮现化䜜甚He暪軞を吐出䜜甚Qをずしたグラフ図圢を考えおみたいず思いたす。

このずき撹拌゚ネルギヌPは埮现化䜜甚Heず吐出䜜甚Qの積に比䟋するので四角圢の面積の倧きさずしお衚されるこずになりたす。

📝[memo] 四角圢の面積P瞊軞He×暪軞Q

撹拌゚ネルギヌのむメヌゞ
🚩 撹拌゚ネルギヌのむメヌゞ

䟋えば撹拌゚ネルギヌPが䞀定であったずしおさらに次のような堎合を考えおみたす。

埮现化䜜甚Heが倧きいずき

埮现化䜜甚倧
🚩 埮现化䜜甚倧

撹拌゚ネルギヌPの倚くを埮现化䜜甚Heに䜿甚するず撹拌゚ネルギヌPは瞊軞埮现化䜜甚Heが長い四角圢ずしお衚されたす。

その結果暪軞が短くなるので吐出䜜甚Qが小さくなるこずがわかりたす。

📝[memo] 右図の四角圢のような堎合です。

吐出䜜甚Qが倧きいずき

撹拌゚ネルギヌPの倚くを吐出䜜甚Qに䜿甚するず撹拌゚ネルギヌPは暪軞吐出䜜甚Qが長い四角圢ずしお衚されたす。

その結果瞊軞が短くなるので埮现化䜜甚Heが小さくなるこずがわかりたす。

📝[memo] 䞋図の四角圢のような堎合です。

吐出䜜甚倧
🚩 吐出䜜甚倧

マグネティックスタヌラヌ

このように考えるず撹拌゚ネルギヌが同じであっおも撹拌機ずしおの胜力が異なっおくるこずが理解できるかず思いたす。

  • 撹拌゚ネルギヌPの倚くを埮现化䜜甚Heに䜿甚する埮现化䜜甚Heが倧きくなるず吐出䜜甚Qが小さくなりたす。
  • 撹拌゚ネルギヌPの倚くを吐出䜜甚Qに䜿甚する吐出䜜甚Qが倧きくなるず埮现化䜜甚Heが小さくなりたす。

䟋えば䞋図で瀺すように撹拌機によっお埮现化䜜甚ず吐出䜜甚の割合が異なりたす。

このように撹拌機は倧きな吐出䜜甚を発揮するものず埮现化䜜甚を発揮するものに倧別されやすく䞡者の撹拌䜜甚を有効に発揮するためには撹拌゚ネルギヌ自䜓を倧きくするしかないず蚀えたす。

撹拌゚ネルギヌず撹拌䜜甚の関係
🚩 撹拌゚ネルギヌず撹拌䜜甚の関係

撹拌゚ネルギヌの匏の理解

いきなり撹拌゚ネルギヌの匏を玹介したしたが銎染みがない衚珟ずなっおいたす。

むメヌゞになりたすがこの匏の意味するずころを説明したいず思いたす。

📝[memo] 深掘りする内容ずなっおいたすので飛ばしおも問題ありたせん。

説明が分からない人

たず倧前提ずしお氎動力理論動力の匏が知られおいたす。

これはポンプが単䜍時間に液䜓に䞎える有効゚ネルギヌを衚したす。

最初にこの匏の意味するずころを考えたす。

📝[memo] いろいろな解釈ができたすが圓瀟が考える内容を玹介したす。

📝[memo] 匏の理解を優先するため単䜍は[min]ではなく[s]ずしおいたす。

🚩 氎動力理論動力の匏
  • 質量m = ρQt ⇒ [kg/m3]×[m3/s]×[s] = [kg]時間tを甚いる
  • 高さh = He ⇒ [m]
  • 䜍眮゚ネルギヌP = mgh = (ρQt)×g×He = ρgHeQt ⇒ [kg]×[m/s2]×[m] = [kgm2/s2] = [J]
  • 氎動力理論動力Pw = P/t = ρgHeQ ⇒ [J]/[s] = [J/s] = [W]
ロッククラむミング

このように考えるず氎動力理論動力の匏は䜍眮゚ネルギヌずしお解釈するず理解がしやすそうです。

撹拌機ずポンプはよく䌌おいるず蚀われおいるのでこの氎動力理論動力の匏を撹拌゚ネルギヌに適甚するこずを考えたす。

ここでgHeを考えるずgHe ⇒ [m/s2]×[m] = [(m/s)2]ずなるので速床の2乗を意味したす。

「撹拌をやさしく捉えおみよう【撹拌をどのように利甚するべきか】」のペヌゞで玹介したようにせん断力は速床の差によっお倉圢が生じる力のこずです。

せん断力がメむンずなっお埮现化䜜甚が発揮されるため埮现化䜜甚はgHeで衚珟するこずができそうです。

このような解釈をするず先述した撹拌゚ネルギヌの匏が埗られたす。

「スケヌルアップ理論を考えおみようヌ乳化線【呚先端速床䞀定時における撹拌䜜甚の倉化】」のペヌゞでも吐出䜜甚ず埮现化䜜甚の衚珟に぀いお取り䞊げるこずにしおいたす。

  • 吐出䜜甚Q ⇒ [m3/s]
  • 埮现化䜜甚He ⇒ [(m/s)2]
  • 撹拌゚ネルギヌP = ρHeQ ⇒ [kg/m3]×[(m/s)2]×[m3/s] = [kgm2/s3] = [W]

撹拌機ずポンプの比范撹拌䜜甚の評䟡

 ずいうように撹拌゚ネルギヌに぀いお考えおきたしたが実は理由がありたす。

䞋図は撹拌機ずポンプの比范をしたものです。

撹拌機ずポンプはよく䌌おいるず蚀われおいたす。

撹拌機ずポンプの比范
🚩 撹拌機ずポンプの比范

ポンプにおいおも撹拌䜜甚に盞圓する「吐出量」や「揚皋」がありたすがこれらは蚈噚によっお枬定するこずができたす。

䟋えば流量蚈や圧力蚈を䜿甚するこずができたす。

そのためポンプの胜力は䜓系化されおおりその遞定は比范的容易であるず考えられたす。

䟋えば䞋図のような性胜曲線で䞎えられたポンプがあるずき2000 [r/min]で䜿甚するこずを考えおみたしょう。

するず60 [m]高いずころたで氎を送るずきHe = 60氎量は10 [L/min]Q = 10であるこずがわかりたす。

🚩 [匕甚化孊装眮癟科事兞線纂委員䌚線『化孊装眮癟科事兞』化孊工業瀟1971]
壁を乗り越える人

䞀方撹拌機における撹拌䜜甚は蚈噚によっお枬定するこずができないのが実情です。

すなわち撹拌機の性胜曲線が存圚したせん。

📝[memo] 撹拌機の吐出量のみを瀺したものはあるかず思いたす。

そのため撹拌機の胜力は撹拌䜜甚ずしお䜓系化されおおらずその遞定は困難であるず蚀えたす。

このような事情を鑑みるず撹拌機ずしおの胜力を把握するために撹拌゚ネルギヌの倚くが埮现化䜜甚ず吐出䜜甚のどちらに䜿甚されおいるかを芋極めるこずが重芁になりたす。

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